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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

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大西理氏と振り返るEC業界25年史 顧客に求められるシステムとサービスはどう変わった?

 1990年代後半の黎明期から様々な出来事を経て、生活者における役割や企業にとっての位置づけが大きく変化してきたeコマース。技術革新の著しさがより増す中、今後はどのようなサービス提供や環境構築が求められるのだろうか。本記事では、セシールのEC事業立ち上げに携わり、日本のeコマースの歴史を自身の目で見てきたスマイルエックスの大西理氏と、2000年代初頭からシステムエンジニアとして通販・EC業界に携わるBIPROGYの村田一世氏が、顧客体験のアップデートを軸にあるべき姿を語る。

「注文ツール」から「体験提供の場」に

──大西さんはこれまで、通販、流通、メーカー、小売、アパレルと様々なジャンルのEC事業・デジタルマーケティング推進に携わっています。市場やチャネルの拡大を見てきた当事者の視点から、改めて黎明期の環境変化についてお聞かせください。

大西(スマイルエックス) 私がセシールでEC事業の立ち上げに携わったのは、1990年代の後半です。日本では、インターネット利用率がまだ20%から30%程度の頃でした。

 当時、米国では既にAmazonなどeコマースを主軸にしたビジネスが生まれていましたが、セシールがECサイトを立ち上げるきっかけは、インターネットへの取り組みもありますが、当時は「受注チャネルをオンラインにシフトしてコスト削減する」という大義から始まっています。当時はフリーダイヤルで注文をお受けしていましたが、オンラインで注文が受けられればコスト負担が軽減できる。紙のカタログを発行し、電話、郵便、FAXで注文を受けていた通販会社として、フリーダイヤルのコスト削減と紙類の注文を減らすことでの入力コスト削減は命題だったため、プロジェクトが進められたのです。

 そのため、当時のECサイトはカタログが手元にあるのが前提で「単なる注文ツール」機能が主な位置づけでした。「オンラインでも注文できる」と顧客の選択肢を増やした形です。しかし私は「オンライン販売をきちんと進めるからには、提供する情報の質を高めたい」と考え、商品部に掛け合って商品詳細情報を充実させたり、カタログ撮影時にECサイト用の写真を一緒に撮影したりと、パソコンの画面だけでも注文できる環境を2000年代前半にかけて作っていきました。今でいう、顧客体験向上の視点ですね。もちろんこれは、通信環境や端末が進化したからできるようになったことでもあります。

スマイルエックス合同会社 代表 大西理氏
スマイルエックス合同会社 代表 大西理氏

村田(BIPROGY) 私は2000年にBIPROGY(当時の日本ユニシス)に入社し、システム構築をサポートする立場から、アパレル業界のEC化に携わってきました。入社当初は、まだまだEC関連の案件は少なく、店舗システムや基幹システム導入のご相談が多かったと記憶しています。

 大西さんはかなり早くから取り組まれていますが、実際に企業が積極的に自社ECを立ち上げるようになったのは2010年代に入ってからです。そこからは、O2O・オムニチャネルと徐々にECサイトを絡めた案件が増えていきました。

大西 オムニチャネルの概念が生まれてから、ECサイトの役割は大きく変わりました。特に、スマートフォンの普及率が80%を超えた2019年以降の変化は著しいと感じています。コロナ禍はあくまできっかけの一つで、その前からSNSの普及などと相まって、行動の起点がオンラインになり始めていましたよね。自社ECの位置づけも「店舗やカタログの補完的役割」から、「オンライン起点でどう体験を提供するか」という方向に考えがシフトしていたと思います。

村田 確かに私自身の生活を振り返っても、オンラインで価格やスペック、レビューを徹底的に比較し、「試着がしたい」「実物を見たい」と思ったら店舗に足を運ぶ、といったように、店舗が「目的を達成するための場」に変化しています。私は今、ほとんどの買い物をオンラインで済ませているため、店舗に行く機会が減りましたが、それは店舗に魅力がなくなったからではありません。ECサイトの体験が向上し、思い立った時にいつでも調べて購入までスムーズにできる環境が整ったからこそのものです。

 このように、顧客視点で見て各チャネルの位置づけが変わる中、システムに求められる要件も変化してきたと肌で感じています。また、進化のスピードに応じ、要件をヒアリングして1からシステムを構築するSI型の開発ではなく、新しい技術や知見を業界内でシェアしながら使えるSaaS型の仕組みが求められるようになってきました。そこで当社も、アパレル・流通企業向けに効率的なIT投資とDX推進をかなえられるサービスブランド「DIGITAL'ATELIER(デジタラトリエ)」を立ち上げています。

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タイパ時代だからこそ「顧客起点」の追求が差になる

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この記事の著者

夏野 久万(ナツノ クマ)

フリーライター。制作会社などで勤務後、独立。紙媒体をはじめ、企業のオウンドメディアやビジネス系、ライフスタイル系メディア、コラム、エッセイなども手掛ける。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:BIPROGY株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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